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9. 土壌の保肥力(養分を蓄える性質)

【1】土の養分を蓄える性質(保肥力)

 土の養分保持力を保肥力といい、保水力と同じく、粘土の多い土や腐植の多い土は保肥力が大きいです。

 しかし、粘土や腐植あるいは両者でできた団粒などの量が多い時に、保水力が大きくなるが、保肥力はこれらの量よりも粘土や腐植の質によって支配される傾向になります。


【2】陽イオン交換容量(CEC)

土のコロイド(腐植、粘土)

 土は、陽イオンを吸着する性質を持っています。これを陽イオン交換容量(CEC)と呼びます。この現象は、土の粒子が電気的に(-)であり、(+)の電気を持っている陽イオンを吸着するからです。

 有機物である腐植は、陽イオンを吸着する力が非常に強く、腐植の多い土では陽イオンの吸着力が大きいです。無機物では粒子の表面で陽子の吸着が行われるので、粘土の多い土では吸着力が大きく、砂の多い土は吸着力が小さいです。

 多くの陽子が存在する場合は、土に置換吸着されるイオンの優先順位は、
 H>Ba>Ca>Mg>Cs>Pb>K=NH>Na
です。日本の畑土壌は、雨が多いことや化学肥料が多く施用されていますので、塩基が溶脱されやすくH+が優勢となり酸性を示すようになります。

 陽イオン交換容量(CEC)は乾土100g当たりのmg当量で示します。値が大きいほど多くの陽イオンを吸着することができます。


■保肥力(置換容量)の比較表

CEC(me/100g) 炭酸カルシウムに換算すると100g当たり
よい粘土(モンモリノナイト) 80~150 4~7.5g
わるい粘土(カオリナイト) 3~15 0.15~0.75g
成熟した腐植 600 30g
未熟な腐植 20 1g
河原の砂 0.01g以下
よい土 20以上 1g以上
わるい土 5以下 0.25g以下

【3】陰イオン交換:マイナスイオン肥料のやり方

 土壌コロイドには元々プラスの手が少ないので、硝酸は吸着されにくいです。そのため、地下水の汚染などを考えると硝酸態のチッソ肥料は一度にたくさん施さず、作物根が吸収する量を数回に分けて施す必要があります。


【4】保肥力から考える肥料のやり方

 肥料として施した成分を保持する土の力をつくるには、堆肥の施用や、粘土の客土、あるいは牧草栽培によって、土の団粒構造をよくすることなどが必要です。

 植物はその一生の間、必要な時に欲しいだけの成分を根から吸い上げなければならないので、土は植物が欲しい成分を常に貯蔵しておく役目を持っています。

 また、肥料を施したときは土の中の溶液の濃度が高まり、一時的に根が害されると思われますが、特に過剰に施肥しないかぎり、そのような障害はおきません。これは土に塩基を保持する作用があるため、作物根にすぐ必要な成分以外は、土のコロイドが吸着してくれるからです。過剰の施肥は、地下水を汚染してしまう可能性があるので注意しましょう。

 理想的な施肥は、植物と土壌の状態を見て、適宜肥料を施すことです。それには土壌診断を行うなど専門的な診断も必要です。ただ家庭菜園(ガーデニング)くらいでしたら、簡易的な診断方法もありますので、このサイトで紹介していきたいと思います。

【作成日:2010年4月15日】