「微生物に不可能なし」とは微生物を専門に研究している人たちの間でよく言われる言葉です。それほど微生物といううものは色々なことができる万能選手であります
土壌中には1億~10億/1gの微生物が生育していて、一般的な畑では1ha当たり約7トンの重量にもなり、その中に窒素が約100kg含まれます。
■土壌微生物の種類と重量
| 種類形状 | 大きさ | 個数 | 重量 | 主な性質 |
| 動物 | 0.2mm以上 | --- | 5%以下 | 有機栄養 好気性 |
| 細菌 単細胞 | 0.5~2×1~8μm | 107~109個/1g | 20~25% | 有機・無機栄養 好気・嫌気性 |
| 放線菌 分枝状菌糸 | 直径0.5~2μm | --- | --- | 有機栄養 好気性 |
| カビ 分枝状菌糸 | 直径3~50μm | 細菌の1/10~100 | 70~75% | 有機栄養 好気性 |
| 藻類 単細胞 | 直径3~50μm | 水田中に多い | --- | 無機栄養 好気性 |
1.細菌は中性土壌に多く、条件的嫌気性。低分子有機物を分解します。
2.カビは酸性土壌に多く、好気性。高分子有機物を分解します。
3.細菌は団粒内部、カビは外部に多いです。
4.土壌の酸性を改良するとカビが減少し、死菌体を細菌が分解します。(pHの上昇効果・有機物の補給が大切)
5.畑ではカビによる有機物分解が盛んであるため、有機物の消耗が激しいです。(地力の消耗・畑は短命)
6.水田では有機物分解を担うカビは繁殖しにくいため、有機物が分解されにくく、蓄積されやすいです。(水田は長命)
土壌中の物質循環の担い手は微生物で非常に重要です。植物体や動物体あるいはその排泄物の複雑な有機化合物が土の中に入ってくると、これを分解し、より簡単な化合物、あるいは元素、あるいは酸化物にして、物質循環の中に組み入れます。
微生物の中には炭酸ガスを同化し、複雑な有機化合物をつくることができるものもいます。例えば、藻類は光合成を行う色素(葉緑素)を持っているので、太陽エネルギーを直接使うことができます。
一方、それのないものは無機物質の酸化あるいは有機物の分解によって得たエネルギーを使います。また、生きた微生物は呼吸をするので地上の動植物のように炭酸ガスを放出します。
地上の動植物は空気中にあるチッソガスを直接使うこはできませんし、例えばタンパク質のような窒素を含む有機物を分解あるいは消化しても、最終的に空気中に窒素ガスを放出することもできません。
しかし、土壌微生物の中にはこの空気中の窒素を地上の植物に役立つ形に変えて与えることができるものもいます。この作用を「窒素固定」といいます。根粒菌と呼ばれます。
また、窒素を含む有機物を分解し、より簡単な化合物にしたり、逆により複雑な形に合成したりすることもできますが、一方、窒素酸化物を還元する過程で窒素ガスにして放出する微生物もいます。この作用を「脱窒素作用」といいます。
リンは動かないので、植物は根の近くにあるものだけしか吸収できません。そこで菌根菌を入れると菌糸を伸ばし、植物にくっつき(共生)、菌糸を遠くへ伸ばすことで遠くのリンを植物へ持って来れます。
また、炭を入れると隙間に微生物が入ります。中にえさはありませんが、菌糸を伸ばし栄養を吸収できるので、炭を中継点として範囲を拡大できます。
しかし、日本の土壌にはもはやリンが多く存在しているので、実用性がなく途上国に必要とされます。
植物にとって絶対必要な元素であるカルシウム、マグネシウム、硫黄などの循環も、土壌微生物と直接あるいは間接的にかかわりを持っています。
【作成日:2010年5月10日】