コンクリートは水を多く使うほど強度や耐久性が低下するので、設計者が要求する性能を得るためには、コンクリートを練り混ぜる時の水の量を厳しく管理する必要があります。このため、生コン工場では、砂に含まれている水の量の補正を行いながら、計量器についてもJISに規定されている制度を保つことが義務づけられています。しかし問題なのは生コンから先にあります。
生コン工場が生コンの品質に責任を負うのは、生コン車で工場現場まで運搬して荷降ろしするまでです。生コンの受け入れ検査はこの段階で行われ、荷下ろしされた生コンは、コンクリートポンプによって、鉄筋が組み込まれた型枠の中に流し込まれます。この作業は、ポンプ圧送業者の作業員によって行われ、流し込まれたコンクリートが、型枠のすみずみや鉄筋の周囲にきちんと充填されるように締め固めるのは、現場の作業員です。
これらの作業はコンクリートの流動性が高いほど楽で、ポンプに対する摩擦が少ないので、早く作業を終えることができます。つまりポンプ業者にとってやわらかいコンクリートは大歓迎です。早く仕事が終わり、仕事を多くこなせるからです。
またコンクリートを締め固める現場の作業員は、固い生コンを扱うのは骨が折れるので、やわらかいコンクリートは大歓迎です。
ここで問題になるのが生コンへの加水です。生コン車の運転手に強制するのは、主にコンクリートポンプの作業員ですが、現場の作業員が要求することもあり、生コンの運転手は力関係で要求を受け入れざるをえません。
コンクリートの流動性を高めて作業効率を上げることは、生コン車の運転手にもメリットがあります。生コンは練り混ぜてから時間の経過とともに流動性が失われるので、作業が遅れることは困ります。つまり、現場で不法に水を加えることは、ポンプ業者、現場の作業員、生コン車の運転のすべてにメリットがある妙案なのです。
建築現場にコンクリートの品質に責任を持つ監督者をしっかりと配置することが大事です。しかし、コンクリートの施工は単純な作業なので、予算や工期が厳しい場合などを理由に、あやふやに言い逃れる業者が多いのも現状です。
【作成日:2010年1月30日】