コンクリートは、圧縮に強いものの、引っ張りには弱いため、多くの場合引っ張りに強い鋼材と組み合わせて使われています。その代表格が、コンクリートと棒状の鋼材を組み合わせた、鉄筋コンクリート(RC)です。
柱や梁など、構造物の部分のことを部材といいますが、鉄筋コンクリート部材は、鉄筋を組んで型枠の中に設置し、さらにその型枠内にコンクリートを打ち込んでつくられます。このような鉄筋コンクリート部材は、建築物や橋梁など、一般的な構造物に、ごく普通に用いられています。
コンクリートと鉄筋は、お互いに弱点を補い合う素晴らしい関係であり、生物界でいえば共生関係といえるでしょう。
鉄筋は、コンクリートのひび割れが生じた後に、コンクリートが受け持っていた引張力を肩代わりして受け持ち、ひび割れ幅の拡大を抑えます。そのほか、鉄筋コンクリート部材のクリープ変形を減らす、破壊時の靭性を高める、コンクリートの脱落を防ぐ、といった役割を担っています。靭性とは、粘り強さのことで、靭性に富んでいるということは、破壊するまでに大きく変形するということです。つまり、少し変形しただけでパキンと折れてしまうのではなく、グニャーと大きく曲がった末に折れるのであり、構造物の安全性という面で、極めて重要な要素です。
一方、鉄筋を包むように施工されるコンクリートは、鉄筋を所定の位置に固定する、鉄筋がさびるのを防ぐ、万一の火災の場合には、熱による鉄筋の強度低下を遅らせる、鉄筋コンクリート部材が破壊する際には、圧縮を受ける鉄筋の座屈をを遅らせ、変形を大きくする、といった役割を果たしています。
なぜ、コンクリートに包まれると鉄筋はさびにくくなるのでしょうか?コンクリート中の空隙を満たしている水は、水素イオン指数pHが12~13の強いアルカリ性です。このような強アルカリの環境下では鉄筋は、表面に不動態皮膜と呼ばれる、ごく薄い、緻密な酸化被膜を生じ、さびの生じにくい状態になるのです。したがって、鉄筋コンクリート部材は、鉄筋の外側のコンクリートが、一定以上の厚さになるようにつくられます。
この、内部の鉄筋の表面からコンクリートの表面までの距離を「かぶり」とか「かぶり厚さ」といいます。実際の構造物の「かぶり」は様々な条件や経験から決められることになりますが、一般のビルや橋梁などでは、2、5~5センチ以上確保することになっています。
「かぶり」は火災の際の高温による鉄筋の強度低下を妨げる役目も果たします。一般に、コンクリートも鉄筋も500度以上に熱せられると、強度が急激に低下しますが、コンクリートは鉄筋に比べて格段に熱が伝わりにくいため、火災のような短時間の過熱では、表面しか劣化せずに内部の鉄筋の耐火被覆材として充分に役立つのです。
コンクリートに限界以上の大きなひび割れが生じ、コンクリートの防食機能が失われたりすると、鉄筋はさびるだけでなく, さびる際の体積膨張によって、鉄筋近くのコンクリートに鉄筋に平行するひび割れを生じさせ、酸素と水の供給を容易にしてしまいます。さびはさらに加速され、ひどい場合には鉄筋が細くなって(鉄筋断面の減少)部材耐力が低下したり、かぶりコンクリートがはがれおちたりすることになります。
【作成日:2010年1月22日】