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1. コンクリートの性質

【1】コンクリートの特異な性質

 コンクリートは、道路、鉄道、港湾などの交通施設、ダムや原子力発電所などのエネルギー性生産施設、オフィスビルやマンションなどの社会資本を作るために必要不可欠な建設材料です。しかし、その製造方法、使用方法と材料の性質は、他の工業材料に比べて極めて特異な性質であります。


【2】コンクリートの材料

 コンクリートは基本的にはセメントと水と骨材によってつくられます。骨材と呼ばれる岩石材料がコンクリートの体積の70~80%を占めています。これらは砂や砕石などであって、形状・寸法以外まったく手を加えることはなく、素材として使われ、日本では毎年8億トンの岩石が消費されています。そのため、良質な岩石の確保は年々難しくなっています。

 持ち込まれた骨材の品質をその都度チェックすることは困難で、どのような品質の骨材が使われたかは、たまたまコンクリート構造物にひび割れなどの異常が発生した時に採取されるコア試料によって初めて明らかになります。

 セメントは高温で焼成されたケイ酸石灰系の無水物で、水と化学反応して徐々に各種の結晶からなる緻密な組織を形成していきます。つまり、セメントは水和反応によって硬化し、骨材を固めて一体化します。これがコンクリートです。


【3】コンクリートの強度

 コンクリートは水の比率を変えることで強度が変化するのが大きな特徴です。

 水を多く入れれば入れるほど、セメントとの化学反応によって生成される結晶が粗大になり、空隙の多い軟弱な組織のコンクリートになります。これは、強度、耐久性ともに劣悪なコンクリートです。このように、水の添加量の多少によって、土間に敷き詰める程度の低強度のコンクリートから、超高層ビルに使われるような高強度のコンクリートまで、広い範囲に(強度で約10倍も差がある)品質の異なるものができ、この点が他の工業材料には見られないコンクリートの大きな特徴です。


【4】コンクリートの搬入

 コンクリートは生コンを使用し、これは全国の工場によって製造され、十分に流動性を保った状態で現場に運搬されます。現場ではすぐにポンプによって型枠の中に圧送され、人力によって鉄筋や型枠の隅々にまで充填する作業が行われます。ポンプによる圧送作業や人力による充填作業は、コンクリートが流動性に富むほど、つまりやわらかいほど楽です。


【5】コンクリートの流動性

 コンクリートの流動性は、練り混ぜる際の水の量によって支配されます。加える水の量が増すほど流動性は増しますが、これに応じてセメントも加えないと耐久性や強度が低下します。水量の多いコンクリートはひび割れなどが生じやすくなります。

 そこで、コンクリートの配合設計では、圧送・充填作業に支障をきたさない範囲で流動性に制限を与えています。しかし問題なのは、ポンプ圧送や型枠内での充填作業の能率を上げるために、現場に運搬されたコンクリートに勝手に水を加えて、やわらかい状態にできることで、水はどこにでもあるので簡単にやってしまうことが多々あります。


【6】コンクリートの硬化

 鉄筋やプラスチックの製造では、硬化は瞬間的に行われるので、目標とした性質が得られるまでの時間は極めて短いです。これに比べてセメントと水の反応は緩慢であり、設計で想定した強度や耐久性が得られるまでには約1カ月かかります。このことは、構造物に施工されたコンクリートが必要な品質を満たしているかは1か月後でなければ分からないということです。

 問題になるのは、この時点でコンクリートの強度が設計値に達していないことが判明した場合です。その間に工事は進行していて、発注者にも責任が及ぶことから、壊して作り直すことは極めて困難です。


【作成日:2010年1月22日】